【電子帳簿保存法⑦】電子帳簿等保存とは?自己が発行した会計帳簿や書類を電子データで保存するときの要件を解説(対応は任意)

今回は電子帳簿保存法の3つの保存方法うち、「電子帳簿等保存」について解説していきます。

電子帳簿等保存はすべての事業者に強制されるものではなく、あくまで対応は任意です。

しかし、電帳法に対応の会計ソフトを使用している場合には、簡単に対応することができます。
わざわざ帳簿を紙に印刷して保存しておく必要もなくなるため、経理のペーパーレス化や業務効率化のためも、電子帳簿等保存のルールに沿って対応するのがおすすめです。

目次

電子帳簿等保存の対象は?

電子帳簿等保存とは、自己が最初からパソコンや会計ソフトなどで作成した帳簿や書類を、電子データのまま保存するルールを定めたものです。

電子帳簿等保存は、電子取引データ保存と異なり、対応するかどうかは任意です。

「電子帳簿等保存」の対象となる書類は以下の図の通り、仕訳帳や総勘定元帳などの国税関係帳簿や、貸借対照表や損益計算書などの決算関係書類、契約書や請求書などの取引関係書類のうち自己が発行したものです。

電子帳簿保存法の対象書類&3つの保存方法

これらの帳簿や書類は、従来は紙に印刷して会社内に備付けて(保存して)おかないといけなかったところ、自己が最初からパソコンや会計ソフトなどで作成した帳簿であれば、電子データのまま保存しておくことができます。

ただし、一部に手書きのものが含まれている場合には、電子帳簿等保存の対象となりません

また、会計期間の最初は手書きの帳簿を付けていたけれど、途中から電子データの帳簿に切り替えた場合も、その年は電子データでの保存はできません。会計期間を通して電子データで作成している場合のみ対象となります。

電子帳簿等保存の開始にあたっては、税務署への届出や承認などの手続きは不要です。

電子帳簿等保存を行うときに必要な要件

電子帳簿等保存の要件は、優良な電子帳簿かそれ以外かで異なります。

要件帳簿書類
優良その他
記録事項の訂正・削除を行った場合には、その事実と内容を確認できる会計ソフト等を使⽤すること⚪︎
通常の業務処理期間後に入力した場合には、その事実を確認できる会計ソフト等を使⽤すること⚪︎
電子化した帳簿の記録事項について、関連する帳簿間で、相互にその関連性を確認できること⚪︎
システム関係書類等(システム概要書、システム仕様書、操作説明書、事務処理マニュアル等)を備え付けること⚪︎⚪︎⚪︎
保存場所に、パソコン、プログラム、ディスプレイ、プリンタ、操作マニュアルを備え付けること⚪︎⚪︎⚪︎
検索要件①取引年⽉日、取引金額、取引先により検索できること⚪︎
②日付又は金額の範囲指定により検索できること⚪︎
③2つ以上の任意の記録項目を組み合わせて検索できること⚪︎
税務調査の際に、電子データのダウンロードの求めに応じることができるようにしておくこと⚪︎⚪︎

優良な電子帳簿以外であれば、次の点を対応できていればOKです。

・クラウド会計などの汎用性の高い会計ソフトを使用
・会計ソフトの操作マニュアルや業務処理規定を備える
・パソコンやディスプレイ、プリンターなどを用意しておく
・データのダウンロードができるようにしておく

優良な電子帳簿の優遇措置

加えて、「訂正や削除、追加した情報の内容を確認できる」「帳簿間での相互関連性を確認できる」「検索機能がある」を満たすと、優良な電子帳簿と認められます。

優良な電子帳簿は、申告した税額に不足があった場合に科される「過少申告加算税」が5%軽減されるというメリットがあります。
また、個人事業主であれば、青色申告特別控除額が55万円から65万円に増額されます。

ただし、優良な電子帳簿として認められるためには法定申告期限までに税務署への届出が必要です。

優良な電子帳簿では青色申告特別控除額が55万円から65万円に増額されますが、e-Taxによって電子申告すれば、優良な電子帳簿でなくても65万円の控除額が受けられます。

優良な電子帳簿として認めてもらうかどうかは、自社の業務状況や対応コストなどを考慮して選択しても良いかと思います。

まとめ

今回は「電子帳簿等保存」の要件について解説しました。

freeeやマネーフォワードなどのクラウド会計を使用していれば、コストをかけずに簡単に対応できます。

ペーパーレス化や経理業務のDX化の一部として取り入れてみることをおすすめします。

免責
ブログ記事の内容は投稿時点での税法その他の法令に基づき記載しています。また、理解のしやすさを優先し、厳密ではない解説をしている部分があります。本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行ってください。

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