電子取引データ保存の要件として「真実性の確保」と「可視性の確保」が求められています。
今回は、このうちの「真実性の確保」について、具体的な対応方法を解説していきます。
電子帳簿保存法の「真実性の確保」とは?
「真実性の確保」とは、電子データの内容が改ざんされていなことを示します。
例えば、電子データの取引内容を削除したり修正したりする場合には、履歴がきちんと残るようにしておかないといけません。
もし作成日の記録や修正履歴が残らなければ、取引内容が後から改ざんされてしまっても見つけることができません。
そういったリスクを防ぐために、「真実性」の確保が求められています。
「真実性の確保」の方法は?
「真実性の確保」の方法として、次の3つがあります。
①タイムスタンプを付与する
②電磁的記録の訂正削除履歴が残るまたは訂正削除ができないシステムでデータの授受・保存の双方を行う
③訂正や削除に関する事務処理規定を定めて運用する
①タイムスタンプ
タイムスタンプは、電子データの作成日時を記録し、その日以降に内容が改ざんされていないことを証明するものです。
具体的には、次のどちらかの方法にてタイムスタンプを付与する必要があります。
- 時刻認証業務認定事業者(TSA)と契約してスタンプ付与する
- 認知スタンプを付与できる会計システムを利用する
②訂正削除履歴が残るシステムの利用
訂正削除履歴が残るシステムは、例えばOneDriveやDropboxなどのクラウドストレージが該当します。
ただし、同じクラウドストレージ内で電子データの受領と保存が必要なので注意が必要です。
例えば、訂正履歴の残るクラウドストレージで受け取った電子データを同じクラウドストレージ上にそのまま保存しておく場合はOKです。
一方、メールで受け取ったPDFをクラウドストレージに保存しておく場合は、クラウドストレージに保存する前に内容の修正ができてしまうためNGです。
その場合には③の事務処理規定の備え付けが必要になります。
③事務処理規定の備え付けと運用
訂正や削除に関する事務処理規定を定めて運用する方法は、コストをかけずに取り入れることができるのでおすすめです。
事務処理規定とは、電子取引の訂正削除や改ざん防止に関するルールを定めた書類のことで、電子取引の範囲や対象となるデータ、管理責任者などを定めたものです。
国税庁のホームページに、事務処理規定の雛形が用意されているので、こちらをベースに自社に合わせた規定に変更することで、比較的簡単に作成できます。
freee会計で電子取引データをクラウド保存する場合の「真実性の確保」要件は?
freee会計を利用して記帳されている方は、メールに添付されたPDFや、ECサイトからダウンロードした領収書、クレジットカード利用明細のcsvや、売上データのcsvをfreeeにアップロードして保存しているケースが多いと思います。
こういった場合は、freeeにアップロードする前に内容の修正や改ざんができてしまうので、基本的に②の訂正削除ができないシステムでのデータの受領・保存」の要件を満たしません。
そのため、③の事務処理規定の備え付けが必要になってきます。
freeeの電子帳簿保存法特設サイトでは、事務処理規定のサンプルを配布していますので、freeeをお使いの方はご参考にしてみてください。
まとめ
今回は電子取引データの「真実性の確保」について解説しました。
基本的には事務処理規定を備え付けて運用することで要件を満たせることから、税務調査の際に困らないよう、あらかじめ対応しておくようにしましょう。
免責
ブログ記事の内容は投稿時点での税法その他の法令に基づき記載しています。また、理解のしやすさを優先し、厳密ではない解説をしている部分があります。本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行ってください。